「数値型の計算誤差」の版間の差分
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{{Alert|この記事のより新しい版が[https://docs.wsoft.ws/products/alice/tutorial/calculation-error/ WSOFTDocs]にあります。AliceScriptWikiでは、この記事はもう更新されません。||04}} | |||
[[Category:チュートリアル]] | [[Category:チュートリアル]] | ||
AliceScriptの数値型は、倍精度浮動小数点数数値型と定められており、この規格はIEEE754として標準化されています。 | AliceScriptの数値型は、倍精度浮動小数点数数値型と定められており、この規格はIEEE754として標準化されています。 | ||
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知的好奇心旺盛なあなたのために、もう少し説明します。例えば10進数の<code>0.1</code>を2進数に変換すると<code>0.0001100110011…</code>となり、<code>0011</code>が永遠と循環します。そのため<code>0.1</code>を倍精度浮動小数点数数値型に格納するには、適当な桁で丸める必要があります。このとき、最も近い偶数に値を丸めます。その結果として<code>0.1</code>は数値型では2進数で<code>0.0001100110011001100110011001100110011001100110011001101</code>となります。これを10進数に戻す<code>0.1000000000000000055511151231257827021181583404541015625</code>となり、<code>0.1</code>ではなくなります。 | 知的好奇心旺盛なあなたのために、もう少し説明します。例えば10進数の<code>0.1</code>を2進数に変換すると<code>0.0001100110011…</code>となり、<code>0011</code>が永遠と循環します。そのため<code>0.1</code>を倍精度浮動小数点数数値型に格納するには、適当な桁で丸める必要があります。このとき、最も近い偶数に値を丸めます。その結果として<code>0.1</code>は数値型では2進数で<code>0.0001100110011001100110011001100110011001100110011001101</code>となります。これを10進数に戻す<code>0.1000000000000000055511151231257827021181583404541015625</code>となり、<code>0.1</code>ではなくなります。 | ||
ただし整数は、有効桁数15桁の範囲内であれば、正確に格納できます。また小数であっても、k/2^n (k,nは整数)で表すこともできる小数は2進数で表現できるため、正確に格納できます。 | |||
なおこのような誤差は、AliceScript固有のものではありません。IEEE 754の2進浮動小数点形式を採用しているシステムでは、同じことが起こりえます。 | なおこのような誤差は、AliceScript固有のものではありません。IEEE 754の2進浮動小数点形式を採用しているシステムでは、同じことが起こりえます。 | ||
=回避策= | =回避策= | ||
==許容範囲を決めて値を比較する== | ==許容範囲を決めて値を比較する== | ||
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///パラメータ a:一方の値 | ///パラメータ a:一方の値 | ||
/// b:もう一方の値 | /// b:もう一方の値 | ||
/// tolerance: | /// tolerance:許容できる誤差の最大の値(この数値は常に正) | ||
function NumEqual(number a,number b,number tolerance) | function NumEqual(number a,number b,number tolerance) | ||
{ | { | ||
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if(NumEqual(numA,numB,tolerance)) | if(NumEqual(numA,numB,tolerance)) | ||
{ | { | ||
print( | print(“二値は等しいと認められました”); | ||
} | |||
==一度整数にした後で変換する== | |||
他には、例えば一度整数にしてから計算する方法も考えられます。次の例では、二つの数を整数にすることができる数<code>dis ** 10</code>を求めて二数を整数にした後、計算を行うことで誤差を防ぎます。ただしこの場合でも、有効数字15桁以上の数は正確に扱うことができません。 | |||
import “Alice.Math”; | |||
///与えられた数の小数点以下の桁数を取得します | |||
function GetDisitsUnder1(number num) | |||
{ | |||
var priceString = price.ToString().TrimEnd('0'); | |||
int index = priceString.IndexOf('.'); | |||
if (index == -1){return 0;} | |||
return priceString.Substring(index + 1).Length; | |||
} | |||
///二つの小数が等しいかどうかを判断します | |||
function NumEqual(number numA,numbner numB) | |||
{ | |||
//numA,numBの小数点以下の桁数(すなわち、10の何乗倍すれば整数になるか) | |||
var nAd = GetDisitsUnder1(numA); | |||
var nBd = GetDisitsUnder1(numB); | |||
//二つの小数の小数点以下桁数のうち多い方 | |||
var dis = math_max(nAd,nBd); | |||
//numA,numBを整数化したもの | |||
var rA = numA * (dis ** 10); | |||
var rB = numB * (dis ** 10); | |||
return (rA == rB); | |||
} | } | ||
///二つの小数の和を求めます | |||
function Sum(number numA,number numB) | |||
{ | |||
//numA,numBの小数点以下の桁数(すなわち、10の何乗倍すれば整数になるか) | |||
var nAd = GetDisitsUnder1(numA); | |||
var nBd = GetDisitsUnder1(numB); | |||
//二つの小数の小数点以下桁数のうち多い方 | |||
var dis = math_max(nAd,nBd); | |||
//numA,numBを整数化したもの | |||
var rA = numA * (dis ** 10); | |||
var rB = numB * (dis ** 10); | |||
//整数化されたものの計算結果 | |||
var result = rA + rB; | |||
return (result / (dis ** 10)); | |||
} | |||
print(NumEqual(0.1+0.2,0.3));//出力例:true | |||
print(Sum(0.1,0.2));//出力例:0.3 |