変数
変数は、AliceScriptにおける主要な概念の一つです。変数は、任意の場所で宣言定義でき、その値を取り出したり代入することができます。
この記事では、多くの変数に共通する事項を説明した後、それぞれの型の特徴について説明します。
変数は、すべて基となるvariable
から派生しています。これは、すべての変数に共通した操作セットを提供します。
variable型
variable
型は、すべての変数の値を表します。variable
型は等値演算子をサポートします。この型から文字列型にのみ暗黙的な変換をサポートします。variable
型のメソッドは次の通りです。
- variable.Dispose
- variable.Equals
- variable.Clone
- variable.DeepClone
- variable.ToString
- variable.Length
- variable.Size
- variable.Properties
- variable.Type
- variable.Convert
AliceScriptのすべての変数および定数は、値に評価されるすべての式と同じように、型を持ちます。インタプリタはコード内で実行されるすべての演算が型安全になるようにします。例えばnumber
型の変数には、その値を加算したり減算したりする算術演算が許可されます。しかし、bool
型にはその種類の演算は許可されません。次に、特定の型の規定値を使用して変数を初期化する例を示します。
var v = type.Activate();
型には次の種類があります。
number型
数値型は実数を表します。数値型は算術、比較、等値演算子をサポートしています。
AliceScriptの数値型の表現できるおおよその範囲は、±5.0 × 10−324 - ±1.7 × 10308(-15~17桁)で、サイズは8バイトです。
数値型の規定値はゼロ0
です。また、数値型で非数、正方向の無限、負方向の無限を表す定数がそれぞれ、NaN
、PositiveInfinity
、NegativeInfinity
として定義されています。
数値型への暗黙的な変換は存在しません。型変換演算子を使用するかConvert
メソッドを使って、文字列型、bool
型、bytes
型からの明示的な変換がサポートされています。また、数値型専用のメソッドは存在しません。この型の型指定修飾子はnumber
です。
bool型
bool
型は、ブール値の論理数を表します。bool
型は論理、比較、等値演算子をサポートしています。
bool
型の有効な値はtrue
かfalse
のいずれかです。
それぞれの値を表す定数がそれぞれ、true
、false
として定義されています。
bool
型への暗黙的な変換は存在しません。特に、WSOFTScriptとは違い数値型の代わりに値を使用することはできません。また、文字列型、数値型、bytes
型からの明示的変換がサポートされます。bool
型専用のメソッドは存在しません。この型の型指定修飾子はbool
です。
bytes型
bytes
型は、バイナリデータ配列を表します。bytes
型は比較、等値演算子をサポートしています。
bytes
型の規定値はnull
です。この型はnull
をとり得ます。この型の型指定修飾子はbytes
です。
bytes
型への暗黙的な変換は存在しません。また、文字列型、数値型、bool
型からの明示的変換がサポートされます。bytes
型専用のメソッドは存在しません。
none型
none
型の有効な値は唯一null
です。この型はnull
をとります。また、null
型は比較演算子のみをサポートします。
null
の値を表す定数がnull
として定義されています。
null
型への暗黙的な変換および明示的な変換はサポートされていません。
string型
文字列型は、テキストを一連のUTF-16コード単位として表現します。文字列型は結合、比較、等値演算子をサポートしています。
文字列型の規定値は空の文字列””
です。また、この型の型指定修飾子はstring
です。
すべてのAliceScriptに組み込まれている型はすべて文字列型への暗黙的な変換をサポートしています。文字列型に限って、明示的な変換と明示的な変換は同じ動作になります。文字列型のメソッドは次のものがあります。
array型
配列型は、インデックスを使用してアクセスできる変数のリストを表します。配列型は、結合、比較、等値演算子をサポートしています。
配列型の規定値は空の配列[]
です。この型はnull
をとり得ます。この型の型指定修飾子はarray
です。
配列型は必ずしも要素を含む必要も、同一の型である必要もありません。配列型への暗黙的な変換はサポートされていません。 明示的な変換を行うとき、その値を唯一の要素とする配列型に変換されます。配列型のメソッドには次のものがあります。
delegate型
デリゲート型は、匿名関数のように一連のステートメントのまとまりを表します。デリゲート型は結合、比較、等値演算子をサポートしています。
デリゲート型の規定値は空のステートメント{}
です。この型はnull
をとり得ます。デリゲート型への暗黙的な変換と明示的な変換の両方はサポートされていません。この型の型指定修飾子はdelegate
です。
デリゲート型は、配列のように複数の要素を持つことができます。しかし、デリゲート型にはデリゲート型以外の要素を含めることはできません。 デリゲートについての詳しい説明はデリゲートの記事を参照してください。デリゲート型のメソッドには次のものがあります。
type型
type
型は、変数の型を表します。type
型は比較、等値演算子をサポートしています。type
型の規定値は、type.None
です。type
型への暗黙的な変換はサポートされていませんが、文字列型からの明示的な変換はサポートされます。この型の型指定修飾子はtype
です。type
型のメソッドには次のものがあります。